想いを受け止め、
デザインでビジネスに貢献する
Ryu Shibata
入社以来、ブランディングをはじめ、Webサイトやパッケージ、イベントなどのグラフィックデザイン、経営層のプレゼンテーションのサポートなど幅広い領域で活動してきた柴田 竜。「メッセージや世界観が明快に伝わるコミュニケーションデザインを追求していきたい」と語る彼に、学生時代の思い出、これまでの仕事、この先の目標について聞きました。
目的に合った表現を
突き詰めること
学生時代の思い出は?
一番印象に残っているのは、大学3年時に取り組んだ“ビジュアルコミュニケーションで仮想クライアントの問題を解決する”という課題です。それまでは自己を表現する趣旨の課題が多かったのですが、ある問題に対して、いかにデザインで解決策を出していくかを考えることが面白く、自分に向いているなと感じました。
また卒業制作では、当時自分の考えていたことをテーマにコミカルな世界観の短編アニメーションのシリーズを制作しました。このような経験を通して、自分は「明確な目的やテーマに対して、どのような表現や手段を講じれば、それを達成できるのか」を考えるコミュニケーションデザインの道に進みたいと思っていました。
自分の財産になっている
「伝える力」と「聴く力」
学校で得たことは?
先生や同級生に自分の作品をプレゼンする「伝える力」と、作品への批評を改善に役立てる「聴く力」を養えたことは、自分の大きな財産になっています。伝えることについて、私は“作品はプレゼンをもって完成する”と考え、聞く人に自分の作品を理解してもらうために「印象的なビジュアルを入れよう、キャッチーな文言を入れよう」とこだわっていました。
一方、聴くことについては、講評会で自分の作品に対して色々なコメントをもらうのですが、当初はそれを素直に受け入れることが苦手でした。ただ途中から“人のコメントは自分が気づけていない視点”だと気づき、真摯に受け止めるようになりました。今の仕事でも対話をしながら業務を進める機会が多く、多様な意見を取り入れながらデザインしています。
入社1年目ながら、リブランディングを担当。
“手を動かしながら考える”日々が、自立につながった
入社後の仕事は?
入社1年目のときに、Sony Startup Acceleration Programという新規事業支援プログラムのロゴデザイン及びリブランディングを担当しました。当時は、仕事の進め方について右も左もわからない状態。手を動かしながら学び、上司の指導を受けながら徐々に自分なりのやり方を見つけ出していきました。そこでたくさんのことを実践できたからこそ、仕事の進め方、アイデアの考え方、提案の仕方を体で覚えることができたと感じています。さらに自立性も鍛えられ、その後は自分で考えながら判断し、行動していけるようになりました。
最近の仕事では、写真・動画クリエイターの撮影や制作をサポートするプラットフォームCreators' Cloudのコミュニケーションデザイン全般を担当。また、ソニーグループの音楽事業の一つであり世界最大の音楽出版社Sony Music PublishingのCIも手がけました。この案件では事業の特徴を理解した上で、「ソングライターの権利を守りながら、彼らの活躍の機会を拡張していく」という同社のメッセージを象徴的に体現したロゴマークを作成。モーションロゴやコンセプトムービーと合わせて提案することで、トップマネジメントからも好意的なフィードバックをいただくとともに、海外のメディアでもロゴトレンドの一例として紹介されるなど、デザイナーとしての自信につながりました。
Sony Music PublishingのCI開発の流れ
-
ブリーフィング資料をもとに
複数のアイデアを検討 -
トップマネジメントに
提案・方向性を決定 -
審議を重ね
ロゴをブラッシュアップ -
ロゴをコンセプト動画とともに
提案・決定 -
ガイドや
モーションロゴを作成 -
発表
自分の可能性が
引き出されていく職場
職場の印象は?
挑戦する機会が多く、自分でも気づいていなかった可能性が引き出されていく職場だと感じています。最近では、組織や事業の目指すべき方向を明文化するビジョン作成のコピーライティングも担当するようになりました。きっかけは、私の仕事ぶりを見ていた上司が「できそうだから書いてみなよ」と誘ってくれたこと。せっかくなので挑戦してみようと思い、複数の関係者にインタビューをした上で、本質的な価値やキーワードを整理しながら、文章にまとめていきました。それがきっかけで他の案件のビジョン作成も頼まれるようになりました。入社時は自分がコピーライターのような仕事をするとは思っていませんでしたが、自分の可能性が広がったことが嬉しかったです。
自分の役割は、イメージを具体化し
目指すべき方向を明確にすること
仕事のモットーは?
インハウスデザイナーの役割は、イメージを具体化し共有することで、価値を見出し、目指すべき方向を明確にすることだと思います。ビジネスの現場では、メンバーの思いが交錯してプロジェクトがうまく前進しないこともあります。そのようなとき、私たちデザイナーがメンバーの想いを整理し、「目指すのはこういう世界観ではないか」とビジュアルを提示することが重要だと考えています。
それによってメンバーの発想力が刺激され、「自分たちはこういうものを作ろうとしていたのか」とそれまで抽象的だったイメージが一気に具体化される場面を何度も経験しました。プロジェクトの構想段階から関わり、関係者の想いの実現に貢献できることがソニーのデザイナーの醍醐味だと思います。
視野を広げ、ビジネスの発展に
関わっていきたい
この先の目標は?
私は、デザインのクオリティを追求する一方で、ビジネスの発展に貢献できるような存在になりたいと考えています。ソニーグループでは、日々新しい事業や取り組みが立ち上がっていますが、それらに対してグラフィックやビジョン制作といった一部分だけでなく、視野をより広く持ち、横断的に関わることでその活動が世の中に定着するようにしていきたい。それがコミュニケーションデザインなら可能であると信じて、これからもチャレンジしていきたいと思います。