SONY

ユーザーの声に耳を澄まし、
本当の「心地よさ」をつくりたい

小坂 真由

2011年入社(新卒) プロダクトデザイン

学生時代の卒業制作 学生時代の作品

人間工学に基づく
デザインを学んだ学生時代

私はもともと工学部志望だったのですが、小さい頃から絵を描くのも好きで、美術やデザインにも興味を持っていました。そんなとき、工学とデザインが両方とも学べる芸術工学部という分野を知り、そこでプロダクトデザインを専攻しました。大学に医学部が併設されていたこともあり、授業では医療デザインの課題が多く、造形的な美しさだけでなく、操作ミスをなくし、効率よく使うための人間工学に基づいたデザインを学びました。卒業制作では、乳がん検診で使用されるマンモグラフィーの新しいデザインに取り組み、系列病院の検査現場を見学しながら、受診者の恥ずかしさや身体への負担を軽減するデザインを提案しました。ユーザーの気持ちや使いやすさを第一に考えていた大学時代の経験が、私のプロダクトデザイナーとしての原点になっています。

ソニーに興味を持ったのは、子どもたちに向けたサステナブルデザイン”のコンセプトモデル「odo(オド)」の展示を見たこと。これは、手動発電できるカメラで、自分の手で発電する体験をしてもらうことで、エネルギー問題に興味を抱くきっかけを提供するもの。そんな子どもたちの未来を考えたプロダクトをつくるソニーに魅力を感じました。さらに、ソニーデザインのワークショップに参加した際、インストラクターの方たちが本当に楽しそうに自分たちが取り組むデザインの面白さを話されていて、そんな方々の雰囲気にも強く惹かれました。

※ odoは「子どもと一緒につくるエコのカタチ」をスローガンに、2008年に提案したデザインプロトタイプ。車輪のようなローラーを回すことで1回分を発電。虫めがねタイプのカメラで撮影したものを、ビューワーで見られる仕組み。
デジタルスチルカメラ DSC-KW1/KW11 新人研修

日々刺激を受けながら、
デザイナーとして成長できる

ソニーに入社していいなと思ったのは、先輩との距離感が近く、仕事でちょっと悩んだときにもすぐに相談できること。しかし、デザインに対しては厳しくて、鋭いアドバイスを受けることもたくさんあります。ただ先輩のアドバイスをそのまま反映するのではなく、そこから解釈を広げ、自分なりのデザインをつくりだすことが大切だと思っています。また、社内の外国籍のデザイナーや海外拠点のデザイナーとプロジェクトを進めることも多く、彼ら彼女らの視点や発想に触れ、意見を交わすことで多くの刺激を受けています。そんなグローバルな環境で、自分のデザイン力だけでなく、コミュニケーション力も鍛えられていると実感しています。

新人時代に印象に残っているのは、海外モデルのデジタルカメラDSC-KW1/KW11のデザインです。これは、中国やアジア諸国でSNS用に自分撮りを楽しむ多くの女性たちに向けて企画されたもの。デザインに際しては、そうした女性たちにより魅力的な撮影体験を提供できるカメラを目指し、社内のいろいろな部署の女性の意見を聞いたり、中国やアジア諸国で現地の女性に調査を実施したりしながら、ただ記録する道具ではなく「持っている姿も美しいカメラ」というデザインコンセプトを立案。そこから「香水瓶」というモチーフを導き、一般的なカメラのメカニカルな印象を抑え、キラキラと輝くアクリル素材やスワロフスキーを使用した、女性を華やかに彩るデザインに仕上げました。

ワイヤレスステレオヘッドセット
h.ear on 2 Mini Wireless(WH-H800)

やりたいことにチャレンジできる環境で、
デザインの領域を広げていきたい

最近は、ハイレゾ対応のワイヤレスステレオヘッドセットh.ear on 2 Mini Wirelessを担当しました。前モデルでは、オーバーヘッド型の耳覆いタイプのヘッドホンしかありませんでしたが、このモデルでは女性など頭のサイズが小さい方にもh.earを楽しんでもらえるように小型で軽量の耳載せタイプのデザインに取り組みました。設計担当とリサーチを行い、さまざまな国の女性の頭の形状やサイズを計測。人種を問わず、装着しやすいヘッドバンドの長さや形状の検証を繰り返すとともに、長時間使用しても耳が痛くなりにくい着け心地を追求。同時に、設計担当に内部構造を一から見直してもらい、小型化を突き詰めました。その結果、h.earシリーズの洗練された外観はそのままに、世界中の女性がハイレゾ音源を心地よく楽しめるヘッドホンをつくりあげました。

私はいま、プロダクトデザインに加え、入社してから興味を持った製品の色や素材、表面加工などを考えるCMFデザインにも携わっています。たとえば、製品の豊かな質感と汚れにくさを兼ね備えた新たな表面加工をつくるなど、ただの装飾にならず、機能性を持たせていくCMFの考え方はデザイナーとしての視野を広げてくれています。ソニーのデザイン部門は幅広い分野を擁し、積極的に取り組めば、やりたいことにチャレンジさせてくれる場所。そんな環境のもと、今後もさまざまなデザイン領域に挑戦し、型やジャンルに縛られないデザイナーを目指したいと思っています。

ある日のスケジュール

9:15 出社、メールチェック
10:00 中期提案案件ブレスト
11:00 デザイン作業
11:50 ランチ
12:30 チーム内スケッチ確認
13:00 モックメーカー打ち合わせ
14:00 CMF workshop
16:30 設計と打ち合わせ
17:30 デザイン作業
19:30 退社