自分の可能性を広げるために
学び、挑み続ける
Chihiro Aoshima
2050年の人々の生活をプロトタイピングした「ONE DAY, 2050 / Sci-Fi Prototyping」など
未来を見据えたプロジェクトを多く担当し、自分なりの「答え」をデザインで示してきた青島 千尋。
そして今、グラフィックだけでなく、空間やブランディングデザインにも挑戦するなど、
自分のデザイン領域を広げる彼女に、学生時代の思い出や現在の仕事について聞きました。
どのような分野なら、
自分が通用するのか
学生時代の思い出は?
子どもの頃から絵を描くことが大好きで、将来はデザイン系の仕事をしたいと思っていました。実際、美術大学に入学すると、絵がプロのように上手くてセンスがよい人がたくさんいて…、どのような分野なら自分が通用するのか模索していましたね。そのなかで夢中になれたのが、グラフィックデザインを生かしたテキスタイルデザイン。整然と繰り替えされるパターンに面白さを感じて、自分の志向に合っているなと感じたんです。
日々、自分らしいテキスタイルのパターンを考える一方で、イラストやCGなど他の分野に特化した友人たちとアートチームを結成し、自分の作品を展示会で発表していました。趣味として楽しみながらも、遊び感覚だけで終わらないよう真剣に取り組んでいました。
いまの自分に満足しないこと
大学で学んだことは?
「自分がつくった作品が、有名なデザイン誌の1ページに掲載されたとき、見劣りせず、恥ずかしくない作品になっているか」。この言葉は大学の教授に教わった考え方で、私のデザインの指針のひとつになっています。いまもこの言葉を思い出し、自分がつくるビジュアルを客観視しながら仕事に臨んでいますね。また学生時代から意識しているのが、あえて苦手分野に挑戦し、得意分野に変えていくということ。そして、仕事を「こなす」のではなく「楽しむ」ことです。いまの自分に満足せず、新たな仕事に常に挑み、自分のデザインの幅を広げていきたいと思っています。
「ソニーをよく知らない
第三者の気持ち」になること
入社の経緯と入社後の担当案件は?
大学卒業後、小型家電や化粧品などを扱うライフスタイル系のメーカーに勤めたのですが、新たな挑戦をしたくてソニーに入社しました。当初はXperia™スマートフォンのキービジュアルやコンセプトムービーを担当し、その後、人とロボティクスが共生する新しい関係を描いた「Affinity in Autonomy」や、2050年の人々の生活をプロトタイピングした「ONE DAY, 2050 / Sci-Fi Prototyping」など未来を見据えたプロジェクトのコミュニケーションデザインを担当。最近ではソニーネットワークコミュニケーションズの事業「NURO(ニューロ)」のリブランディングを担当させてもらうなど、貴重な経験を積ませてもらっています。
コミュニケーションデザインではお客様の視点で考えることがとても大切なので、デザインを進めるときはソニーが好きという自分の気持ちをおさえて、「ソニーをよく知らない第三者の気持ち」になることで、現状のデザインが客観的にどう見えるかを考えるようにしています。
SF作家とともに
「2050年の東京」を探求
最近、印象的だった仕事は?
「ONE DAY, 2050 / Sci-Fi Prototyping」です。ソニーのデザイナーとSF作家がコラボレーションし、「2050年」「東京」「恋愛」という3つのキーワードを大きな傘としながら、「WELL-BEING」「HABITAT」「SENSE」「LIFE」の4つのテーマについて未来をプロトタイピングするプロジェクトで、私は全体のコミュニケーションデザインをメンバーの一員として担当しながら、「WELL-BEING」チームのリーダーも務めました。
普段の業務では1、2年ほど先に世に出る商品に関わることが多いなか、30年先の未来である「2050年の東京」を、自分でも小説を書いてみたり、そこからバックキャストしたりしながら探求するという新しい取り組みで、とても楽しみながら参加することができました。
事業全体を盛り上げていく醍醐味
「NURO」のリブランディングも担当されたとか
「NURO光」という光回線サービスブランドを、モバイル通信、スマートライフ、AIなどを含めた包括的なネットワークサービスブランドへ拡大するというプロジェクトで、「より多様な人々をターゲットにした革新的サービス群」に進化したことを示すリブランディングに取り組みました。これまで数々の先進的なサービスを生み出してきた事業部のメンバーといっしょに、各サービスをまとめるマスターブランドを改めて「NURO」と定義し、それを強くしていくことで、事業全体を盛り上げていくという戦略を立てながら、NUROのロゴをリデザインしました。新しいロゴはCMでも使用され始め、社内の士気高揚にもつながっています。
コミュニケーションデザインの流れ(Xperiaのアセット制作の場合)
-
競合他社のデザインを
リサーチ -
結果を踏まえ、
次期モデルがどういう
立ち位置になるべきかを
明確化する -
担当商品の
世界観となるワード、
およびムードボード
づくり -
ID/CMFデザイナー、
マーケティングチームと
意見交換しながら
ブラッシュアップ -
制作会社と
密にやりとりをしながら
GC制作、および
写真撮影 -
新商品発表
新しいブランディングストーリー
をつくりたい
この先の目標は?
チャレンジしたいのは、海外の魅力的なデザイン・映像制作会社と協業して、人々の記憶に少しでも残るようなビジュアルや映像、ブランディングストーリーを一からつくること。世の中の固定概念にとらわれない新しいデザインを生み出せるように挑戦していきたいと思います。海外に拠点を持ち、クリエイティブに精通した外国籍のデザイナーが多数揃うクリエイティブセンターという恵まれたデザイン環境のなか、自分の目標に向けて進んでいければと考えています。