入社1年目×マネジメントが語る、企業の変革を担う「ビジネスプロセスアーキテクト」の可能性
ソニー商品の国内セールス&マーケティング活動を担うソニーマーケティング株式会社において、商品の受発注、在庫管理、出荷、顧客応対などのビジネスオペレーションの業務設計、関連部署との連携、情報システムの要件定義および運用をミッションとするビジネスプロセスアーキテクト職。
多岐にわたるプロジェクト推進やPMO(Project Management Office)業務、DX(Digital Transformation)の活用による効率化・自動化を担う仕事の面白さと可能性について、2022年度に新設されたばかりの「ビジネスプロセスアーキテクトコース」で入社した1年目社員とマネジメントに話を聞きました。
ビジネスプロセスアーキテクト職について
ビジネスプロセスアーキテクトは、ソニーマーケティング株式会社の社内コンサルタントとして最新のテクノロジーやビジネス動向を考慮した上で、最適なオペレーション戦略立案、業務プロセスの設計と構築によりビジネスの収益力強化を推進します。具体的には、効率的で高質な業務プロセスへの変革を企画/実行するBPR(Business Process Re-engineering)、AIなどのデジタルテクノロジーを駆使してUX(User Experience)を高めて業務プロセスへの変革を企画/実行するDX、またBPRやDX、新規ビジネスを実現するためのプロジェクトの推進・管理を行うPMOなどの役割を担います。
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事業のビジョンに寄り添い、運用まで伴走するプロフェッショナル集団を育てたい。
── CMKオペレーション企画推進課と業務プロセス改革推進課、それぞれの課が担っている業務内容について教えてください。
土屋:CMKオペレーション企画推進課では、カスタマーマーケティング(※)領域で顧客に直接携わるシステムやオペレーションの設計・実行を担っています。わかりやすいところだと、ソニー製品を購入した際に適用されるキャッシュバックキャンペーンなどでしょうか。キャンペーンのシステム設計や、情報配信のための配信インフラのオペレーション運用などが私たちの課の担当範囲になります。
(※)カスタマーマーケティング…既存顧客に対して行うマーケティング活動のこと。
中村:業務プロセス改革推進課では、社内オペレーション領域のDXを担当しています。例えばデータの可視化・分析のためのBI(Business Intelligence)ツールや、作業プロセスを自動化するRPA(Robotics Process Automation)ツールなどを活用し、業務プロセス改革を推進しています。BIの例を挙げると、一般的な表計算ソフトを用いたレポート作成だと、担当者によってデータやフォーマットがバラバラになります。我々はセンター組織として見るべきレポートやデータの標準形が定義されたBIツールを社内に導入しています。そうすることで、ビジネス上の課題におけるスムーズな意思決定につながったり、レポート更新作業の自動化が実現できたりしています。
──コースを新設され、ビジネスプロセスアーキテクト職としては初めて新卒採用を行ったとお聞きしましたが、その背景についても教えてください。
土屋:ビジネスプロセスアーキテクト職として私たちが行っている業務支援を、例えば外部のコンサルタントにプロジェクト単位で入っていただくこともできますが、会社のやりたいことや事業の方向性を理解した上で全体的な視点を持って長期的に伴走していくとなると、外部委託ではどうしても難しいケースがあります。
私たちはシステム・ビジネス・オペレーションを三位一体で考えていますが、ビジネスの背景なども深く理解してオペレーション改善ができる人材を社内で育てていくことの必要性を感じ、コース新設に至りました。
中村:システム化して終わる「プロジェクト」という関わり方だけではなく、我々は実行後のオペレーションとその改善にも携わっています。そうして構築・運用・改善を繰り返していきますが、AIなどテクノロジーの進化に伴い、そのサイクルがさらに短く、また適用できる領域が大きく広がってきたと感じます。長期視点で、この改善サイクルや領域の広さに対応できる人材のニーズは今後も高まっていくことが予想されるため、計画的に社内で育成していきたいという考えです。
1年目から大きな裁量を持って事業変革に携われる。
── 入社1年目のお二人に聞いてみたいのですが、なぜソニーのビジネスプロセスアーキテクト職に応募しよう思ったのでしょうか?
早川:私は大学院生のときに教育プログラムの効果について研究していたのですが、そのプログラムを開催していたのがソニーだったので、もともとソニーには興味を持っていました。応募した理由は、ソニーの自由闊達な社風に惹かれたことに加え、コース別採用だったので、職種が確定した状態で入社できることに魅力を感じたことが挙げられます。
また就職活動を進める中で自分の価値観を整理してみると「煩雑なものがそのまま放置されていることがどうしても許せない」という強い感覚があることに気がつきました。例えば大学院での研究では、さまざまな概念同士がどう対応しているのかをマッピングして整理する作業が得意であり好きでもありました。他にも、アルバイトで1時間かかっていた煩雑な仕事の手順を自動化して5分でできるようにする作業に喜びを見いだしていました。このような「煩雑なものを整理する」ことが仕事にできたら面白いのではないかと考えたときに、ピンポイントでマッチしたのがビジネスプロセスアーキテクトの仕事でした。
喜多:私は学生のときに、いくつかプロジェクトマネジメントを経験しました。中高生向けの宇宙探究活動の支援や、アントレプレナーシッププログラムの運営など、テーマはさまざまですが、目指すべき未来に向かってプログラムをつくり、他者と調整を重ねてイベントを成功させることに面白さを感じていました。ビジネスプロセスアーキテクト職は、ソニーの事業の20年後や30年後を見据えて伴走する仕事なので、そうした部分にやりがいを感じて応募しました。
── 就活時、他にはどのような企業を検討していましたか?また、その中でもソニー(ビジネスプロセスアーキテクト職)に決めた理由についても教えてください。
喜多:主にコンサルティング会社を検討していました。特に「人」に興味があったため、組織人事コンサルティング会社などの選考にも進みましたが、ソニーの自由闊達な社風を知り、自分のやりたいことが実現しやすいのではないかと感じました。実際に働いてみて感じることでもありますが、1年目からここまで大きな裁量を持って会社の変革に携われる仕事は他にないと思います。他社では、実際に自分が裁量を持って現場に入ることができるまでには何年もかかると聞きますので、この点は大きな魅力でした。
── 任される裁量の大きさがこの仕事の魅力ということですが、実際に1年目のお二人はどのような仕事に携わっているのでしょうか?
喜多:私は、ミラーレス一眼カメラ「α(Alpha)TM」における、フォトグラファー向けの新たなサポートやサービスを立ち上げるための企画から実装までを担当しています。製品マーケティング部門から依頼を受け、物流などのオペレーションだけではなく、新しいサービスの認知活動の設計までを担っています。数名のチームで担当しており、私はプロジェクトマネジメントの一人です。
ビジネス立ち上げに向けて必要なことは全方位、多岐にわたりますので、それらをカテゴリー分類した後にタスクとして分解し、スケジュールを設定、進捗を管理しています。またプロジェクト立ち上げ時にはキックオフミーティングを行いますが、業務を進める上でさまざまな意思決定を行うステークホルダーへの情報収集・提供も行います。
担当としてアサインされたのは入社して数カ月の頃だったので、こんなに早くプロジェクトを担当することになるのか⁉と驚きはありましたが、将来的に重要なビジネスに自分が携われることを誇らしく感じました。
── まさに入社1年目から全方位で事業に携わるのですね。早川さんはいかがでしょうか?
早川:私はBPRの企画から導入までを担当しており、PMOとして新しい業務プロセスの導入を推進しています。具体的にはBIツールやETLツール(※)を活用して、従来は権限申請や承認が都度必要だった業務を全て自動化することで工数の削減を実現しています。
喜多さんはチームで一つの案件を担当していましたが、私は対称的に「一人プロジェクト」のような形かもしれません。依頼元からビジネス課題をいただき、課題に対するアプローチ検討や要件定義を行います。その後開発を依頼して、開発されたものを今度は運用する方々に説明してシステム導入を支援します。導入後も動作不備などがないかどうかを定期的にチェックして、何か課題が見つかればまた要件定義を行うというサイクルです。
※ETLツール…ETLとは、抽出(Extract)、変換(Transform)、ロード(Load)の3段階のデータエンジニアリングプロセスをまとめた用語であり、ETLツールとは、この3つの処理の自動化・スケジューリング・並列化などを担うソフトウェアのこと。
── 「一人プロジェクト」とのことですが、わからないことや困ったことがあったときはどうされているのでしょうか。
早川:チューターの方や他の先輩方も周りにいるので、わからないことがあれば相談できる環境です。ただ私も喜多さんと同じように、若手の頃から仕事を任されてオーナーシップを発揮できる点を魅力に感じているため、できるだけ自分で考えて取り組むよう意識しています。結果的に、それが仕事の全体像を理解することにも役立っていると思います。
── 若手社員にも大きな裁量を持たせて仕事を任せる狙いについても教えてください。
中村:社会人になって最初の数年は仕事の基礎を築く上で重要な時期だと思っています。さらに最近は不確実性が高い時代です。企業が抱えている問題点をしっかり自分の目で見て、問題の本質は何かを考えて、自分で視野を広げていかなければなりません。手取り足取り教えて、作業レベルに分解して指示を出してしまうと、成長の機会を奪ってしまいます。
土屋:1年目の社員にも積極的に仕事を任せていきますが、もちろん任せっぱなしではありません。比較的年次の近い社員に日々の業務の相談相手としてチューターを、またプロジェクトマネジメント経験豊富なベテランのメンバーには指導役を担ってもらっています。若手社員には意思を持って自由に活動してもらいながらも、いつでもバックアップできるようサポート体制は整えています。
業務効率化から売上拡大へ、課題解決テーマはまだまだ転がっている。
── ビジネスプロセスアーキテクトの可能性、この職種の展望について教えてください。
中村:会社や事業の進むべき方向性が定まったときに、解決すべきビジネス課題は本当にたくさんあります。今でも、改善が必要な案件は社内に何百件と転がっているような状態で、どこから手を付けようか悩んでいます。そのため、喜多さん・早川さんにはさまざまなプロジェクトに携わって経験を積んでもらい、課題解決のスピードをどんどん高めていってもらいたいと思っていますし、マネジメントの立場ではお二人のような若手をこれからも育てていきたいと考えています。
土屋:ビジネスプロセスアーキテクトが扱うテーマであるDXやBPRというと、業務効率化やコスト削減など、何かを圧縮していくような業務の印象があるかもしれません。ただ私たちが取り組んでいるのはそれに限らず、カスタマーマーケティングや新規事業の立ち上げも担っています。売上を直接作っていく部分にも、ビジネスプロセスアーキテクトとして今後は積極的に携わっていきたいと考えています。
最新のテクノロジーに触れながら会社や事業の成長に伴走し、自身の成長実感も得られる環境。
── 改めて、ビジネスプロセスアーキテクト職の仕事のやりがいについて教えてください。
喜多:仕事において自分の意思を問われることだと思います。会社や事業の10年後・20年後がどうなっているのか、ビジネス・テクノロジー両面から考えながら、実際に会社を動かしていくためのアイデアと実行力を求められることにやりがいを感じます。
早川:私も、自分の意思を問われて主体的に仕事に取り組める点にやりがいを感じます。作業者としてではなく主体者として、若手であっても意思を問われる風土が社内にはありますし、そういった環境が魅力だと思います。
土屋:ビジネスプロセスアーキテクト職に求められるのはスキルだけではなく、やはり人としての信頼性も必要になります。仕事の経験を重ねるうちにそうした人間力も高まりますし、そうなると課題をより深く理解できるようになり、成長実感を持てると思います。
中村:この仕事では、日々新しいテクノロジーに出会います。最初のうちはわからないことばかりですが、なんとかそれを自分のものにして、課題解決に生かしていく。そうして常に新しいことに取り組めることがやりがいだと思っています。
── ビジネスプロセスアーキテクト職に向いている人、こういう人に応募してほしいなどイメージがあれば教えてください。
喜多:将来を見据えて会社を作り変えていきたいという、変革意識を持った人。何かを実現することにこだわりを持って取り組める、意志のある人だと思います。
早川:喜多さんの言葉を自分なりに言い換えるなら「我の強い人」だと思います。ソニーの長い歴史の中で培ってきた現状のオペレーションを変革していくのは、決して簡単なことではありません。ただ、そうした現状に甘んじることなく、将来を見据えて強い意志を持てる人が必要だと思います。
中村:まさに、現状に対して違和感があればそれを変えようとするモチベーションを仕事に対して向けられる人には、この仕事は最適だと思います。
土屋:ソニーにはこだわりの強い人が多いですが、ビジネスにはもちろんさまざまな制約があり、それを踏まえて仕事を進めていかなければなりません。よく「仕事はこだわり、割り切り、思い切り」と言いますが、こだわりは大事にしつつもやはりどこかで割り切らなければならないところがある。そして、決めたなら思い切って走るしかないというように、こだわりを持ちながらも柔軟に思考できる人は、特にビジネスプロセスアーキテクト職として活躍できるのではないでしょうか。
編集部のDiscover
今回、インタビューをした1年目のお二人は(取材時点で)入社からまだ8か月程度しか経っていませんでしたが、既に自分の案件を複数抱えてプロジェクトを回していることに驚きました。ビジネスプロセスアーキテクト職の裁量の大きさや成長の早さを感じると共に、それを見守るマネジメントからの期待も大いに感じます。喜多さん・早川さんに続く新入社員の方々の活躍が楽しみです。
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