ソニーの魅力を伝え、もっと知ってもらいたい。さまざまな人と人とのコミュニケーションを支える「広報」の仕事に迫る
「広報」について、皆さんはどのようなイメージを持っていますか。「会社に関わる情報を世の中に発信する」といったざっくりとしたイメージは持ちつつも、具体的な仕事内容についてはよくわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。私自身も、広報の仕事に興味を持ちつつも、具体的には知りませんでした。
そこで今回は、ソニーグループ株式会社(以下、SGC)の広報として働いている北川さんと柴田さんに話を伺いました。ソニーグループの広報の魅力に迫ります。
実は、人と一番関わる?ソニーグループの広報が担う仕事とは
── まず、お二人の仕事内容について教えてください。
柴田:SGC広報は、対外コミュニケーションと社内コミュニケーションの大きく2つのチームに分かれています。私は対外広報を担当しています。プレスリリースや取材、記者会見などを通じて、ソニーに関するトピックをメディアに記事化していただき、さまざまなステークホルダーにソニーについて伝える仕事です。決算、経営方針説明会などコーポレートイベントの運営にも携わります。普段は新聞、通信社、雑誌、テレビ、ラジオ、ウェブメディアなどの記者との対話をしています。
北川:私は社内コミュニケーションを担当しています。ソニーには現在、全世界に約11万人の社員がいますが、コミュニケーションを通じて、より多くの社員のエンゲージメントを高められるような施策を考えています。トップマネジメントの考えを社員に伝えるグループクォータリーミーティングや、社内ポータルサイト「Inter Sony」の企画・運営、グループ広報誌「Family」の発行を主に担当しています。2021年からは、社員に限らず全てのステークホルダーに対する新たな情報発信の場として、ソニーコーポレートブログの運営も始めました。
── お二人とも広報の仕事には、もともと興味があったのですか?
柴田:高校生のとき米国に留学した際、外国人のハウスメイトが日本製品の素晴らしさを話してくれたことがありました。そのことがとても嬉しくて、日本の強みを世界に伝えられるような仕事がしたいと考えていました。入社時は、大学時代の専攻を生かして法務の立場で事業に貢献していましたが、ソニーをより好きになるにつれて、ソニーの魅力を多くの人に伝えることに直接関わりたいという気持ちが強くなり、思い切って広報への異動希望を申し出ました。
北川:もともとコミュニケーションに関わる職に就きたいと考えていたので、当初は広告業界やマスメディアなどを中心に検討していました。ソニーは、幼い頃に見たCMがかっこよくて憧れの会社だったので、ソニーの広告に携わりたいと思い応募しました。選考の過程で広報業務について話を聞く機会に恵まれ、より幅広いステークホルダーとコミュニケーションできる広報という仕事に興味を持ち、入社以来、ずっと広報の業務に携わっています。
ソニーとして、伝えたい人にいかに伝えるか
── お二人は、どのようなときに仕事のやりがいを感じていますか。
北川:社内コミュニケーションを通じて、社員を元気づけられることが一番大切なことだと思っているので、社員から前向きな反応をもらえる瞬間はうれしいです。ただ一方で、先程お話した通り社員が11万人もいるので、各事業の職場で活躍している社員との間にはどうしても距離が生じてしまいます。この距離をそのままにしておくのではなく、いかに近づいて社員の思いを把握するか、グループとして発信したいことを社員にどう伝えるかに気を付けています。そういう状況で、「働くモチベーションにつながった」「ソニーで働いていてよかった」といったコメントが社員から寄せられるとやりがいを感じます。
柴田:伝えたいことが記事化され、関係する部門の皆さんが納得したり、喜んだりしてくださるときがうれしいです。オウンドメディアであれば、何をどのように発信するかを自分たちで決められるのですが、記事を書くのは外部のメディアです。例えば、他社も同じような取り組みをしているときに、ソニーを大きく取り上げてもらえるか、意図したニュアンス通りに記事化してもらえるか、私の伝え方次第でメディアの捉え方も変わるので、慎重にコミュニケーションしています。だからこそ、うまく伝わって一つの記事となり、世の中に出た時にやりがいを感じます。
── 逆に、難しさを感じる瞬間についても教えていただきたいです。
北川:編集の難しさをとても感じます。社内ポータルサイトにせよ社内報誌にせよ、限られたスペースで、このタイミングで社員に届けるべきメッセージは何か、をいつも考えています。私としては載せたいことがたくさんありますが、どれを載せてどれを載せないのか、その引き算に悩むことが多いですね。難しさを感じると同時に、社員に伝わる社内コミュニケーションを実践するうえで重要なことだとも感じています。
柴田:対外広報でも何を伝えるかを選ぶ難しさはありますし、それがメディアに取りあげたいと思っていただける内容であることも重要です。また、速報性が求められるメディアも多いので、1分1秒を争う状況にもよく直面します。タイムラインの厳しさと電話の多さは、広報に来て最初に驚いたことでした。広報から発信した情報に対してだけでなく、時事的なトピックに合わせた問い合わせもメディアからいただくので、一見ソニーに直接関係しないようなニュースにも気を配るようにもなりました。
── 特に印象に残っている仕事は何でしょうか。
柴田:2023年度の経営方針説明会が印象に残っています。長期視点の経営によるクリエイティビティへの貢献がテーマの一つでしたが、会場までの動線でもクリエイティビティを感じてもらえるように、受付をキービジュアルで装飾したり、テクノロジーやコンテンツの展示をしたり、演出面で初の試みをいくつか行いました。クリエイティブセンターやソニー・ミュージックソリューションズと協力して見せ方にもこだわることができ、社内外から「オンラインで画面越しに見ていてもソニーのクリエイティビティが伝わった」と言っていただけて嬉しかったです。さまざまな部署やグループ会社との連携で、ソニーグループのメッセージ発信の構築が成り立つことを改めて実感しました。
北川:社内コミュニケーションの醍醐味を強く感じたのは、「学びの最前線」という、社内ポータルサイトで連載した特集記事です。CEOの吉田さんが「学び」が重要であるというメッセージを発信されたとき、「学び」の重要性をどのように社員に伝えられるか、後輩や人材開発の担当者と一緒に考えて企画しました。社員有志が開催する「学び」につながるイベントはソニー全体で盛んなのですが、それら全てを全社員が把握できているわけではありません。だからこそ、そういった取り組みや、企画している社員の思いを広く知らせることができるような連載にしました。記事掲載後、取材に協力してくれた社員のもとに「新しくイベントを企画するから協力してほしい」と連絡があった、という話を聞きました。この連載を通じて、社員同士のつながりにも貢献できたことがすごく印象深いです。
多様な事業と多様な人材。それが、ソニーらしさ
── 広報のどのようなところにソニーらしさを感じますか。
柴田:幅広い事業に触れられることです。SGCはグループの多様な事業を支えているので、全事業を俯瞰したり、個々に注視したりと、テーマやメッセージに合わせてバランスよく見ていく必要があります。グループ全体との整合を認識しながら、それぞれの事業における方向性や最新トピックを正確に理解しなければならないので大変ですが、その分ソニーについていろいろなことを知ることができますし、新しい物事との出会いも多いです。
── 確かに、事業の幅広さはソニーの大きな特長のように感じます。
柴田:ソニーの強みは事業も人材も多様なことです。皆さんに広く知ってほしい会社のトピックも、個々の事業を推進する人材(社員)も魅力的な選択肢が多く、広報するネタを選ぶのが難しいですが、同時に悩めることが楽しくもあります。
── 北川さんはいかがですか。
北川:年次に関係なく仕事を任せてもらえるところでしょうか。以前、対外広報を担当していたとき、自分の言葉がソニーの言葉として受け取られる機会が数多くありました。影響力が大きいことから、他社ではマネジメントのみが担当する場合もあると聞きますが、ソニーでは担当者も対応します。社内コミュニケーションにおいても年次に関係なく、企画を出していますね。
── かなり若手に裁量があるように感じますが、それに伴うプレッシャーなどはありませんか。
北川:もちろん責任を感じますが、それと同時に、一緒にソニーというブランドをつくっているような感覚もあります。対外、社内にかかわらず、コミュニケーションの仕事は留意しなければならない点もありますが、ソニーでは自由度高く、やりたいと声に出すとやらせてもらえる環境が整っていることが魅力だと感じます。また、そうした挑戦時には、周囲のサポートが手厚いことも特長だと感じています。
ソニーの魅力を一人でも多くの方に
── 今後、広報で描きたいキャリアや目標はありますか。
北川:企業文化を醸成していく必要があると強く感じています。2021年にソニーの会社の形が変わり、現在は主要6事業が自立的に経営を行っています。SGCはグループ経営を推進する役割を担っており、「こういう企業文化だからソニーグループでキャリアを築きたい」と社員が思えるような、グループ全体の社風づくりに貢献したいと思っています。また、ソニーのPurpose & Valuesを実感できるような施策も、社内コミュニケーションを通して行っていきたいです。
柴田:広報に異動した理由でもありますが、やはりソニーの魅力を多くの方に伝えて、ソニーと関わりたいと思っていただける人を増やしていきたいと考えています。わかりやすいところで言えば、「ソニーに入りたい」「ソニーで働きたい」と思う人が増えたらよいと思いますし、社員にもソニーでの仕事に誇りを持ってもらえるきっかけを提供できたら嬉しいです。
── 就活生の目線でお聞きしたいのですが、広報に向いている人はどのような人だと思いますか。
柴田:広報部は、とにかく話すことが大好きな人が多い印象があります。コミュニケーションありきの仕事なので、課題にぶつかっても、チームメンバーとの雑談の中で解決策を見つけることが多いです。人と話すことが好きな方には向いていると思います。
北川:新しいことへの感度が高い人に向いていると思いますね。広報で雑談していても、やはり最新のニュースや流行の話題が多いです。社内コミュニケーションでは、会社の経営や社員の動向などをいち早く察知する必要があります。さまざまな物事に関心がある人や、社会のトレンドに感度の高い人が向いているのではないでしょうか。
── 最後に読者の皆さん、特に広報の仕事に興味がある方へメッセージをお願いします。
北川:特に就職活動中は、多くの情報に触れると思います。情報処理や読み解きに追われることは大変ではありますが、その努力は仕事を始めてからも生かされると思います。特に広報のような職種であれば、多くの情報を読み解いた上で企画案などを考えていますから、この読み解く力を鍛えることが仕事の成果にも結びつくのではないでしょうか。広報として一緒に働ける日を楽しみにしています。
柴田:ソニーのPurposeに共感し、さまざまな事業や製品、サービス、技術、人に関心があり、またそれらが好きな人には、きっと面白い仕事だと思います。ソニーファンを増やす仲間になりましょう。
<編集部のDiscover>
取材以前は、広報という職種にどこか堅い(守備的な仕事が多い)印象を抱いていましたが、実際にはとてもアクティブで驚きばかりでした。また、広報の仕事について語るお二人はとても楽しそうで、仕事だけでなく、お話しすることが本当に好きなんだと感じました。皆さんも気になる職種があれば、ぜひその仕事に従事している方にお話を聞いてみてください。