カメラの要素技術開発および組み込みソフトウェア開発設計者 「愛されるプロダクトをつくりたい。その想いは、必ず仕事に表れる」
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「求人クローズアップ」では、現在ソニーグループで積極採用中の求人情報を取り上げ、仕事のおもしろさや職場環境など、求人票だけでは伝えられない魅力をDiscover Sony編集部が深掘りしてお伝えしていきます。
今回ご紹介する求人情報は、カメラの要素技術開発および組み込みソフトウェア開発設計者の募集です。自身も転職経験を持ち、現在はリーダーとしてカメラの露出、ストロボ制御の設計チームをまとめる廣(ひろ)さんに、カメラ開発に携わる仕事のおもしろさや仕事にかける熱い想いを伺いました。
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「愛機」と呼べるプロダクトを求め、転職を決意。
—廣さんご自身も経験者入社とのことですが、転職のきっかけについて教えてください。
今から15年程前のことになりますが、ソニーに入る前、社会人としてのキャリアのスタートは携帯電話の開発でした。当時、携帯電話は飛ぶように売れていて事業としては順調でしたが、少しずつ自分の仕事に疑問を感じるようになっていきました。開発サイクルの速さに虚しさを感じていました。ものづくりに携わる人間として、やはりもっと愛着を持ってもらえる製品をつくりたいという気持ちがあって。例えばバイクや車は愛車と呼ばれます。他にも時計や、そしてカメラもそういった類の製品でしょう。その中で携帯電話の開発で培った組み込み系の経験を生かすとなると、時計かカメラでしたが、カメラはちょうどアナログとデジタルが融合しはじめた頃で、今後のさらなる発展の可能性を感じて転職を決意しました。
—カメラの経験はなかったのですね。
そうです。カメラという製品には惹かれていましたが、カメラの開発経験も知識もありません。面接のときも正直にそれはお伝えしたうえで、組み込みシステムの知見はきっと役に立つと思います!とアピールしました。その結果、「組み込みっぽいところ…ということで撮像シーケンスをまずやりましょうか」と言われて採用されました。
—廣さんの熱意が通じたのですね。その後はどのようなキャリアを歩んで来られましたか?
最初は当然専門用語などもわからなかったのですが、カメラのエキスパートは社内にたくさんいますので、まわりの人に聞きながら学んでいきました。しばらくするとユーザーインターフェースに興味が出てきたため「やりたい!」と手を挙げて、『α55』の撮影画面全般のユーザーインターフェース開発に携わるようになりました。またしばらくしてバージョンアップを担当したときには、単純に機能をどんどん追加していくことに疑問を感じて、ユーザーが自由に設定できるボタンカスタマイズ機能を提案して実装しました。そうするとハイアマチュア層以上のお客さまに評判になりました。お客さまが真に求めるものを手掛けられたということが嬉しくて、今度はユーザーインターフェースの仕様づくりに携わるようになりました。本当にお客さまに必要とされるもの、自分たちがつくるべきものは何か…と考えていく中で、人間中心設計という考え方に出会います。ユーザー調査をしてお客さまが製品を利用するシーンから課題を明確化して、その解決策を製品に落とし込んでいくという、言ってみれば当たり前のことですが、そこから撮影現場への帯同や一対一のインタビューを重視するようになりました。プロフォトグラファーではこれまで国内外100人以上のお話を聞いてきたと思います。それからまたしばらくして、先行開発の部署をつくるタイミングで「廣さん、今までの経験を活かして露出制御(ストロボ制御)をやってくれませんか?」ということになって…それでようやく今の仕事に辿り着きました。
「この仕事をやってください」とは、言わない。
—カメラ経験ゼロからスタートした廣さんが好奇心でさまざまな業務を渡り歩いて、今ではカメラのエキスパートですね。
たしかにここまで幅広く経験している人はあまりいないかもしれません。しかし、これも私が所属しているシステム・ソフトウェア技術センターでは、物体認識・オートフォーカス機能、手振れ補正、信号処理・画像処理といったカメラの進化を実現するための要素技術開発を担うさまざまなチームが共存、協業しながら取り組んでいるからこそ、こうしていろいろな経験を重ねてくることができたと思っています。その中で、現在はストロボ制御だけでなく露出制御全般の開発チームのリーダーをしています。
—廣さんの開発チームメンバーはどのような方々ですか?
数名のチームですが、カメラに携わっていた人もいれば、携帯電話やテレビなど私のように組み込み系に携わっていた人もいます。良い意味でみんなバラバラで、多様なバックグラウンドを持つバランスの取れたチームだと思っています。
—チームリーダーである廣さんは、メンバーとはどのように関わっていますか?
まず「この仕事をやってください」という直接具体的に指示をするような依頼の仕方は基本的にしないように心掛けています。例えば「このジャンルでナンバーワンになる明るさ制御を実現するにはどういうことをしたらいいと思いますか?」と投げかけをして、みんなで考えてもらうというようなコミュニケーションが多いですね。
—具体的に指示をしないのはなぜですか?
問題の本質的な課題を自分ごととして捉えない限り、決して良い仕事にはならないと思っています。これは私がソニーという会社に入ってキャリアを積んでいく中で実際に感じて学んだことでもあるのですが、誰かに言われたことを実現するだけでは解決できないことがあります。ユーザーインタビューをすれば「こういう機能がほしい」「あんなことができたらいい」という話はお客さまがしてくれます。けれども、それらの機能をすべて詰め込んでもお客さまは満足しないと思うのです。何が本質的な課題なのかを自分の頭で考えて、それを機能に落とし込むことができたときにはじめて「そう、これをやってほしかったんだよ!」と言ってもらえることがあります。自分にはそういう経験がいくつもあり、成功体験として残っているので、自分ごととして問題を捉えるということを大切にしています。
自分の考えを持つことで、エンジニアとして成長できる。
—なるほど。ユーザーの声を聞いてユーザー要望を機能で満たす、ということが一般的、当たり前だと思い込んでいました。
カメラは少し独特なのかもしれません。個人的には、コンシューマーが扱う機械類の中では唯一、カメラというものは「創造的な何か」を生み出すものだと考えています。見る(観る)とか聞く(聴く)というのはある種、受動的な行為です。もちろんそういった体験を高いレベルに引き上げるためにさまざまな技術が磨き上げられていますので、技術の優劣の話ではありません。カメラはコンテンツを自分で生み出すという点で、他とは異なると思っています。言葉として出てきた表層的な要望をすくい取るだけでは、お客さまの創造性を揺さぶるような世界には到達できない。私たちはお客さまから出てくる言葉のその先へ行かないといけないのです。
—なんとも哲学的な話ですね…。
まさにそうなんだと思います。こちら側に哲学がない限り、「このカメラは、こういうカメラなんだ」という理解は生まれません。要望の足し算だけでは、ただの機能の寄せ集めにしかならないのです。
—そのようにとことん「ものづくり」と向き合えるということが、この仕事の魅力でしょうか?
そうですね。こういった思考するところに時間を使わせてもらえることも、ちょっと変わっていると思いますが、大変ありがたいところです。普通はもっとガチガチに固められていて、考える余地がないことの方が多いと思いますから。
—「考えることができる」というのは裏を返すと厳しさでもありますね。何も考えずに働けた方がラクだと思う方もいるでしょうから。
特に転職者の方は、最初は少し戸惑うかもしれませんね。そのため私からは、「失敗してもいいから考えてみてください」「あなたの考えを持ってきてください」というメッセージは繰り返し伝えるようにしています。すると次第に自分の意見を紡ぎ出せるようになってきます。自分の頭で考えられるようになって、みるみるうちにメンバーが賢くなっていくのがわかります。
自分の仕事に「哲学」を持ってほしい。
—新たなメンバーがチームに加わるとしたら、まずはどのようなことを話してみたいですか?
「ソニーのカメラを通して、お客さまに届けたいと思っているものは何ですか?」ということを聞いてみたいと思います。この仕事にどのような魅力や期待を感じているか、その方が持っている仕事に対する想いのようなものがそこから透けて見えてくるのです。自分の仕事に誇りを持ち、仕事に対する想いや哲学を持っている方と一緒に働きたいと思っています。
—ちなみに、廣さんがお客さまに届けたいものは何ですか?
ソニーのカメラを使っていただいている方に「このカメラじゃないと感覚が合わないんだ」とおっしゃっていただくことがあります。カメラというのは、目や手の延長のような存在だと思っています。そういう感性に寄り添った価値をもっともっと高めていきたい。まさに「愛機」と呼ばれるような、愛着を持っていつまでも使い続けたいと思ってもらえる価値をつくり、届けていきたいです。